■S:今日の聖書の言葉
使徒の働き26章2節

★「アグリッパ王。私がユダヤ人に訴えられているすべてのことについて、きょう、あなたの前で弁明できることを、幸いに存じます。

■O:今日のコラム
「備えあれば憂いなし」という言葉があります。学校でのテストでも、ビジネスでも、そして災害に対してもあらかじめ備えをしておくことで助かることがたくさんあります。

今日の聖書の箇所はパウロがアグリッパ王の前で自分が体験した証しをコンパクトに、しかも的確に語る場面です。パウロはいつでもどこでも、誰にでも証をする準備ができていました。ペテロもみことばを通してこのように勧めています。

「むしろ、心の中でキリストを主としてあがめなさい。そして、あなたがたのうちにある希望について説明を求める人には、だれにでもいつでも弁明できる用意をしていなさい。」(1ペテロ3:15)

1979年に戦闘機の輸入を巡る汚職事件、いわゆる「ダグラス・グラマン事件」で海部八郎が証人喚問されました。そのとき、彼は「良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、また何事も付け加えない事を誓います」といい、書面にサインをしました。しかし、その手が震えて署名できませんでした。

国会で証人喚問を受けたときの緊張感がこれほどだとしたら、パウロはどれほどの緊張感の中、この場面を迎えていたのでしょうか。しかし、パウロはひるむことなく、むしろ大胆にキリストを証しします。

それでは、パウロが証しをした、このアグリッパという人物はどういう人でしょうか。

当時はローマ帝国が辺り一帯を支配していましたが、ローマ皇帝はイスラエルを支配したときに、ヘロデをユダヤ人の王として任命しました。ちなみに、ヘロデ大王とその子孫たちはユダヤ人ではなく、エサウの子孫のエドム人、あるいはイドマヤ人でした。
そして、ここで出て来るアグリッパはヘロデ王朝最後の統治者です。そのフルネームは「ヘロデ・アグリッパ2世」でした。

彼は幼少期をローマで過ごし、当時の皇帝であったクラウデオの下で帝王教育を受け、父アグリッパ1世が病死した後にユダヤに戻ります。そしてアグリッパはガリラヤなどユダヤ周辺の地方国主となり、後に「王」の称号を与えられます。

彼には妹が3人いましたが、なんと彼の妻は一歳年下の異母兄妹のベルニケでした。彼女は非常に美しい女性であったと伝えられています。それ故か、様々なスキャンダルを起こし、4人の男性と結婚し、アグリッパは4人目の夫でした。後に彼女はローマ皇帝ティトゥスの妾となったそうです。現代だったら、絶対ワイドショーで話題になってたでしょうね。

アグリッパは政治的な支配権を持っていただけではなく、宗教的な支配権を持っていました。神殿の財産の管理、大祭司の任命権も彼にありました。そして、ユダヤ教の知識を経験を持っていました。そのことをパウロは知っていたので「今がチャンスだ!彼に証しをすると助かるかもしれない!」と考え、時を見分け大胆に証しをしたのです。

では、パウロが証しした内容はどういうものだったのでしょうか。

それは一言で言うなら福音です。すなわち、イエス・キリストが私たちの罪のために十字架で死なれた事、墓に葬られたこと、そして三日目に死からよみがえられた事です。このお方がまことの救い主であるという証です。

これを聞いたフェストはこのように反応しました。

「パウロがこのように弁明していると、フェストが大声で、『気が狂っているぞ。パウロ。博学があなたの気を狂わせている』と言った。」(使徒26:24)

英語での表現ですがCold Truthという言葉があります。日本語にすると「冷たい真実」です。パウロはあまりにも真実を述べたため、ローマの総督フェストはこのように反応しました。なぜなら、イエスキリストは苦しみを受けられること、そして死からよみがえられることが、しるしとしてはっきりと示されたからです。

このような妨害にもかかわらず、パウロは自分の使命を全うしようとします。アグリッパ王に「あなたは預言者を信じておられますか。もちろん信じておられると思います。」と詰め寄ります。

アグリッパ王は聖書に精通していたので、気づいていたはずです。そこに書かれているのは、いつか来る救い主に対する希望であるということを。

つまり、このように言い換えることができると思います。

「アグリッパ王、もし、あなたが預言者を信じているのであれば、当然のこととして預言者はやがて来るメシヤ(救い主)の受難と復活を預言していることは当然ご存じですよね?
だったらあなたが知っておられる最近起こった出来事であるイエスの死と復活は多くの預言者が預言したことの成就ですよね。
だったら当然アグリッパ王よ、あなたはこのイエスを救い主として信じておられるんですよね?」という事です。

それに対してアグリッパ王は「あなたはわずかなことばで私をキリスト者にしようとしている」と答えました。別の訳では「あなたは私をほとんどキリストを信じる者にしてしまった」と書かれています。

アグリッパ王がイエス様を救い主として受け入れたかどうかは書かれていませんが、パウロの証しはズバッとアグリッパ王の心に刺さったことは確実でしょう。ここまでが私たちの役割です。福音の種を蒔くのは私たちの仕事です。それを成長させ、実を実らせるのは神様のなされることです。

そして、パウロはこの後いのちをかけて、当時の世界の中心であったローマに向かい、皇帝の前で福音を語る旅に出かけます。

■A:考えてみよう
私はいつでも福音をコンパクトに、その人や状況にあわせて語る準備ができているだろうか?

みなさんも経験したことないですか?誰も助けてくれず、自分だけがクリスチャンだけど、福音を今、この場所で語らなければならないという場面を。

時には「ま、いっか」といってその場をやり過ごすかもしれません。しかし、もしそのとき、あなたが福音を大胆に語らなかったら、その人は永遠のいのちに導かれないかもしれないのです。

目の前で事故にあって苦しんでいる人がいたら、あなたはその人を避けて端の方を通って行ってしまいますか?それとも、良きサマリヤ人のように、犠牲をいとわず、その人を助けますか?

これは実際的なことにおいても、霊的なことにおいても同じです。いや、霊的な方がより深刻で緊急性があるかもしれません。

サッカーの試合で自分が足を出せば逆転のゴールが決められるというときにそれを無視する人がいるでしょうか?私たちが勇気を持って福音を語ることを実行するなら、聖霊様が何を言うかを教えてくださるはずです。

いつでも、どこでも、誰にでも。大胆に福音を語ることができるように準備しておきましょう。家族や信仰の友人、また牧師先生に相手になってもらって、何回も何回も福音を語ってみましょう。練習しなければいざというときに行動できないものです。

そして、怠ってはいけないのは毎日のみことばと祈りです。あなたが、そして私が伝えなければ伝わらない領域があります。その場所に神の国を運んでいきましょう。それが新約聖書の唯一の戒めである「隣人を愛すること」であると信じます。この戒めを全うしていきましょう。

■P:祈り
いつでも私を愛し、受け入れてくださる天のお父さん、あなたの大きな恵みをありがとうございます。
パウロが王の前でも大胆にイエス様を証ししたように、私も誰に対してでも、どこでも、いつでもあなたをはっきりと証ししていくことができますように。
たとえ黙っていたとしても、私の中からキリストの香りが溢れ流れ出ますように。
イエス様が私をいのちをかけて愛してくださったように、私も自分を愛し、隣人を愛していく力を与えてください。
あなたの恵みにより頼み、自分に任せられた使命を全うしていくことができますように。

愛するイエス・キリストのお名前によってお祈りいたします。アーメン。

■感謝のごあいさつ

あと少し配信されますが、今日がマナメールでは私の最後の担当記事となります。今まで15年以上、ただひたすらに毎回の記事を一生懸命調べ、祈り、気がつくとここまで導かれていました。

これは自分の力ではなく、主の助けであり、また、多くの方の祈りの支えがあったからだと強く感じています。様々な形でサポートしてくださった皆様には感謝がつきません。

私の願いの一つは、このマナメールが終わることでした。誤解しないでいただきたいのですが、マナメールをやめたいというのではなく、この形態から一歩進んで、皆様が受け取るだけでなく、自らみことばと格闘して神様から直接マナをいただけるようになることが私の願いです。

今までの記事でも何度もこのことを書いてきたと思います。結局、誰が一番恩恵を受けているかというと、記事を書いた執筆者です。なぜなら、この記事はすべて神様と執筆者の間でなされた会話の記録だからです。

みなさまにおいては、これからはぜひ毎日自分で聖書を開き、神様からあなただけに語られるみことばをノートに書き記してください。それをSNSやブログで分かち合ってもいいかもしれません。アウトプットこそ私たちの理解をさらに深いものへと導きます。

正直な気持ちはマナメールが終わってしまうことに寂しさを感じてしまいますが、別れがあれば出会いがあります。春はそのようなシーズンです。

もし、みなさまの中で、「次のステップに成長したい」「引き続きみことばの励ましが必要だ」と思われる方がおられましたら、一緒に聖書の通読をしていきましょう。私個人の働きとして、1年で聖書を通読できるプランを毎日配信しようと準備しています。もしご希望される方は下記からご登録ください。
https://seishodaigaku.com/bible_reading_plan

長くなりましたが、本当にありがとうございました。どうかみなさま、最後の最後まで信仰を捨てず、みことばを愛し、神を愛する歩みを共に続けていきましょう。

改めて、今までマナメールをご購読くださった皆様に心から感謝します。
そして、長年私たちを霊的に見守ってくださった稲福先生、慎悟先生、真島先生、深津先生に心から感謝します。その霊的な守りがあったからこそ、ここまで続けることができました。感謝がつきません。
そして、このマナメールを毎日校正し、配信登録をしてくださった久笑先生、本当にありがとうございます。毎日の奉仕はどれほど大変だったか想像できません。どのような状況においても霊的なマナを全世界に送り届けてくださった働きに心から感謝します。

そして、この小さき者にいのちを与え、永遠のいのちを与え、ここまで生かしてくださり、たくさんの恵みを注いでくださっている主に、心からの感謝と賛美をお捧げいたします。

すべての栄光がただ、イエス様にありますように。

父なる神の愛、御子なるイエス・キリストの恵み、聖霊様の親しき交わりが、みなさまの上に、今からとこしえまでありますように。

たくさんの感謝と共に。

【富田 俊介】

カテゴリー: マナメール

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