■S:今日の聖書の言葉
創世記32章7節a
★そこでヤコブは非常に恐れ、心配した。
同28節
★その人は言った。「あなたの名は、もうヤコブとは呼ばれない。イスラエルだ。あなたは神と戦い、人と戦って、勝ったからだ。」
■O:今日のコラム
皆さんは恐れや不安を感じたことがありますか?イエス様を信じていたとしても、ふとした時に不安や心配が襲ってくることはあるのではないかと思います。
聖書に出てくる人物でも、主に信頼していながらも突然やってくる恐れと戦っている場面を目にします。そのうちの一つが今日の聖書の箇所、ヤコブを通して恐れに打ち勝つ方法を見ていきましょう。
ヤコブはラバンに仕え、その中でも知恵と努力によって豊かに富むものとなりました。そして、ついに兄エサウに会いに行くことになります。ヤコブは経済力もあり、知恵もあり、年齢を重ねて経験もありました。やろうと思えば何でもできる立場にありましたが、実際に兄に会おうとするときに恐れがやってきました。しかも、みことばには「非常に恐れ、心配した」とあります。
ヤコブは何に対して非常に恐れ、心配していたのでしょうか。それは、兄との再開でした。私たちからしたら、「え?普通に会えばいいじゃん!?」と思うかもしれませんが、ヤコブは20年間、兄と出会っていなかったのです。その間に、過去の兄の怒りに満ちた顔や態度を何度も繰り返し思い出したでしょう。そして、ヤコブの中での兄に対するイメージは歪められていきました。
私たちに働く恐れや不安のメカニズムも同じようなものでしょう。小さな事が私たちの内側に入ると、それが増幅してしまい、本来のもの以上の大きな物となって私たちの心を圧迫します。
ヤコブの素晴らしかったことは、その恐れから逃げなかったことです。これが恐れに打ち勝つ最初のステップです。
船は大波に遭遇したら、決して逃げては行けないそうです。なぜなら、波に対して船の横を見せるなら、簡単に転覆してしまうからです。大波に対しては真正面から波に向かっていくのが正解です。ヤコブはそのことを実行しました。
しかし、忘れてはいけないのは、その前に神様からヤコブに対しての励ましがあったことです。
「さてヤコブが旅を続けていると、神の使いたちが彼に現れた。 ヤコブは彼らを見たとき、『ここは神の陣営だ』と言って、その所の名をマハナイムと呼んだ。」(創世記37:1,2)
まず、神様は御使いを送り、これから起こることに対して「わたしが共にいる」と励ましてくださいます。私たちの内にも聖霊様が住んでくださっており、絶えず深いうめきを持ってとりなしてくださっています。恐れることはありません!強くありましょう!雄々しくありましょう!主が共にいてくださり、恐れに対して立向う私たちと共に戦い、勝利してくだいます!
そして、実際にヤコブが兄エサウに会いに行くとき、周到な用意をしていることが伺えます。まず、使者を送ります。そして、たくさんの贈り物を用意していることを伝えます(3〜6節)。しかし、使者はエサウが400人の者を引き連れて迎えに来ると伝えます。その時、ヤコブは非常に恐れ、心配になったのです。
「使者はヤコブのもとに帰って言った。『私たちはあなたの兄上エサウのもとに行って来ました。あの方も、あなたを迎えに四百人を引き連れてやって来られます。』」(6節)
ここには、400人が攻めてくるとは書かれていません。もしかしたら、エサウの400人はヤコブを歓迎するために出てくるのかもしれません。ヤコブは後ろめたさから恐れが入り、自分の考えだけで物事を判断してしまいました。
これは非常に危険なことです。推測で判断してはいけません。小さな事でも、この罠にハマるならそれが巨大なモンスターのようになり、私たちの心を圧迫します。ですから、イエス様は山上の垂訓で私たちに対して「心配するな。」と言ってくださっているのです。
ですから、恐れに打ち勝つ二番目のステップは、「主に信頼して推測をやめる」ということです。
続いて、賢いヤコブは自分の陣営が滅びないようリスクヘッジを取り、自分が引き連れてきた人や家畜を2つの宿営に分けます。ちなみに、「マハナイム」とは、「2つの陣営」という意味です。神の陣営とヤコブの陣営、また、ヤコブの陣営が2つに別れたこと、ヤコブとエサウの陣営という預言的な名前です。
それから、ヤコブは自分の心を正直に神様に打ち明けます。これぞ「祈り」です。正直な祈りは主に届きます。
9節から12節までのヤコブの祈りは「主を賛美し、主の約束を宣言し、自分の弱さを認め、主に感謝をしています。そして、自分の願いを正直に主に告白しています。最後はまた主の約束を宣言する」というものになっています。祈りの模範です。
ハンナも心を注ぎだして祈りました。そして、顔が以前のようではなくなりました。イエス様も油絞りと言われるゲツセマネで心を注ぎだして祈りました。その結果、十字架へと進んで行かれました。
ですので、恐れに打ち勝つ三番目のステップは「正直な祈り」です。
そして、ヤコブは兄に渡す贈り物を丁寧に選びます。これはヤコブの恐れから出てきた事かもしれませんが、それであっても謙虚になり、自分の過去にしたことに対する反省と真摯な態度を見ることができます。贈り物は人の心を柔らかくします。箴言18章16節にもこのように書かれています。
「人の贈り物はその人のために道を開き、高貴な人の前にも彼を導く。」
ヤコブはへりくだるという決断をしました。そして、贈り物を心を込めて選びました。イエス様もへりくだられ、聖霊様という考えられない贈り物を私たちに送ってくださいました。
私たちも恐れている人に対して、自分の至らなかったことを認め、へりくだり、心から良いものを贈るという決断をしてみましょう。それが恐れに打ち勝つ四番目のステップです。
そして最後のステップへと進みます。それは自己中心との戦いです。
ヤボク(相撲をする、レスリングの意)の渡しで一人残り、神の使いとレスリングをします。そして、神の使いは「ヤコブに勝てないのを見て」と書かれています。これは、ヤコブが神に勝ったということではなく、ヤコブの強い情熱と熱心さを表す表現です。まるで、小さな子どもがお父さんと相撲ごっこをして、あまりにも子どもが熱心にお父さんを倒そうとするので、お父さんがわざと負けたふりをするというのに似ています。
そして、神はヤコブのもものつがいを打ちます。もものつがいは体の中心、つまり自己中心を意味します。家族においてもビジネスにおいてもあらゆる面で成功を収めたヤコブには、まだプライドが残っていたのでしょう。神様はそのプライドを打たれました。これが神様と出会ったときに起こることです。
パウロもその身に棘が与えられ、三度も取り去られるよう祈りましたが、そのまま残され「弱さのうちに主が働かれる」と宣言しました。
神様と出会ったとき、弱められたと感じても恐れる必要はありません。主は皆さんを訓練しようとしてくださっています。そして、やがてやってくるであろう大きな恐れに対して立ち向かうことができるようになるのです。
そして、主に認められたヤコブ(狡猾な者、だます者)という名前からイスラエル(神と共に不屈なる者)という新しい名前が与えられます。
聖書で名前が変わることは、新しいアイデンティティが与えられることを意味します。ヤコブは試練に耐え抜いて良しとされたのです。
私たちも主と共に恐れに立ち向かい続けるなら、黙示録にあるように、誰も知らない新しい名前が与えられます。
恐れがやってきたとき、このステップを思い出しましょう。
・恐れから逃げない
・主に信頼して推測することをやめる
・正直に祈る
・相手に心からの贈り物を贈る
・自己中心と戦う
そして、自分のたましいに「恐れるな!主が共におられる」と言い聞かせ、主と共に恐れに立ち向かっていきましょう。
■A:考えてみよう
自分の恐れはなんだろうか?なぜ、その恐れがいつも自分につきまとうのだろうか?
自分は誰を恐れているのだろうか?その原因はなんだろうか?恐れの原因を祈り求めてみましょう。そして、ヤコブが主と共に恐れに打ち勝ち、主から祝福を受け、新しい名前が与えられたことから学びましょう。
そのために、自分の聖書を開いて創世記32章を何度も読み、研究してみましょう。そして、血を流すまで自分の罪と戦い続けましょう。
■P:祈り
天のお父さん、今日も私を愛してくださることを感謝します。
ヤコブは狡猾でだます者でした。それはまさに私の姿です。どうか今日、主よ、あなたに本当の意味で出会うことができるように助けてください。あなたと出会ったなら、自分の弱さが露呈します。それを受け入れ、また、恐れに打ち勝つ力を与えてください。
恐れの霊の奴隷となるのではなく、神の子としてのアイデンティティを与えてくださっていることを悟らせてください。本当の神との出会いを通して私に新しいアイデンティティと新しい名前が与えられることを感謝します。
イエス・キリストのお名前によってお祈りいたします。アーメン。
【 しゅん 】
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